プロ野球のトライアウトは、現役続行を目指す選手たちにとって最後のチャンスともいえる重要な舞台です。

トライアウトに挑戦する選手の多くは、戦力外通告を受けた元プロ選手であり、再びユニフォームを着るために自分の可能性を懸けています。
トライアウトの合格者は、再契約によってNPB球団へ復帰するケースもありますが、その後の道はさまざまです。
独立リーグや社会人野球で再出発する人、野球以外のキャリアへ進む人など、合格者のその後には多様なストーリーが存在します。
また、トライアウトの合格発表時期や参加資格、制度の変化も注目されています。
特に、2024年の廃止決定と2025年の復活発表は大きな話題となりました。
この記事では、トライアウトの合格者のその後に焦点を当て、歴代の成功例や制度の変遷、そして復活に至る背景まで詳しく解説します。
トライアウト合格者のその後について
トライアウト合格者のその後は、華々しい一軍復帰を果たすケースは少なく、多くが育成契約で再出発しています。
近年のトライアウト合格者のその後をまとめました。
【2022年合格者】
| 選手名 | 前所属 | 新所属(契約球団) | 契約形態 | 成績等 |
|---|---|---|---|---|
| 三ツ俣大樹 | 中日ドラゴンズ | 東京ヤクルトスワローズ | 支配下 | ’23 1軍18試合 ’24 1軍なし→戦力外 ’25 軟式「大森石油」 |
| 渡邊佑樹 | 北海道日本ハムファイターズ | ソフトバンクホークス | 育成 | ’23 1軍なし ’24 1軍なし→戦力外 ’25 ソフトバンク社員 |
| 西巻賢二 | 千葉ロッテマリーンズ | 横浜DeNAベイスターズ | 育成 | ’23 1軍7試合 ’24 1軍なし(2軍打率.234) ’25 1軍なし(2軍打率.264) |
【2023年合格者】
| 選手名 | 前所属 | 新所属(契約球団) | 契約形態 | 成績等 |
|---|---|---|---|---|
| 井口和朋 | 日本ハム | オリックス・バファローズ | 育成 | ’24 1軍32試合(防御率4.18) ’25 1軍5試合(防御率9.64) |
【2024年合格者】
| 選手名 | 前所属 | 新所属(契約球団) | 契約形態 | |
|---|---|---|---|---|
| 清宮虎多朗 | 楽天 | 日本ハムファイターズ | 育成 | ’25 1軍なし(2軍防御率4.18) |
| 中村亮太 | ソフトバンク | 千葉ロッテマリーンズ | 育成 | ’25 1軍なし(2軍防御率5.92) |
| 鈴木康平 | 巨人 | 東京ヤクルトスワローズ | 育成 | ’25 1軍なし(2軍防御率4.96) |
トライアウトで合格した選手は、清宮虎多朗さんや中村亮太さん、鈴木康平さんのように、ファームで成績を重ねながら支配下登録を目指すことが一般的です。
井口和朋さんのように、一時的に一軍で活躍する合格者もいますが、継続的な出場機会を得るのは容易ではありません。
過去のトライアウト合格者のその後を見ても、再契約や社会人チームへの転身など進路はさまざまで、再挑戦の舞台としてトライアウトが重要な役割を果たしていることがわかります。
歴代合格者について
トライアウトの歴代合格者を振り返ると、2001年の初開催以来、毎年数名がNPB契約を勝ち取っています。
トライアウトの歴代合格者は次のとおりです。
| 年度 | 合格者 | 前所属→新所属 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 2001 | 吉田好太 | 近鉄→横浜 | 1人 |
| 2002 | なし | — | |
| 2003 | なし | — | |
| 2004 | 宇野雅美 富岡久貴 三沢興一 河本育之 井出竜也 野村克則 林考哉 福井敬治 代田建紀 | リースキン(社会人)→ヤクルト 横浜→西武 巨人→ヤクルト 日ハム→楽天 巨人→ダイエー 巨人→楽天 日ハム→ロッテ 巨人→広島 ロッテ(ケガで自由契約)→ロッテ | 9人 |
| 2005 | 小倉恒 瑞李 | 楽天→楽天(再契約) ソフトバンク→ロッテ | 2人 |
| 2006 | 遠藤政隆 萩原多賀彦 川井貴志 | 中日→ヤクルト 広島→ロッテ 横浜→オリックス | 3人 |
| 2007 | 石川賢 谷中真二 萩原淳 小関竜也 斉藤宜之 斉藤秀光 三浦貴 | 中日→楽天 楽天→西武 日ハム→ヤクルト 巨人→横浜 巨人→ヤクルト ソフトバンク→横浜 巨人→西武 | 7人 |
| 2008 | 大西正樹 ユウキ 中村泰広 森岡良介 吉本亮 | ソフトバンク→ソフトバンク(再契約) オリックス→ヤクルト 日ハム→阪神 中日→ヤクルト ソフトバンク→ヤクルト | 5人 |
| 2009 | 西谷尚徳 | 楽天 | 1人 |
| 2010 | 小林雅英 多田野数人 荒川雄太 大城祐二 大西宏明 | 巨人→オリックス 日ハム→日ハム(再契約) ソフトバンク→西武 阪神→ソフトバンク 横浜→ソフトバンク | 5人 |
| 2011 | 阿部健太 木下達生 加藤大輔 中谷仁 石井義人 紺田敏正 小林高也 | 阪神→ヤクルト 中日→ヤクルト オリックス→楽天 楽天→巨人 西武→巨人 巨人→日ハム 中日→巨人 | 7人 |
| 2012 | 星野智樹 大立恭平 シャオ・イージェ 林啓介 柴田亮輔 | 西武→楽天 巨人→ソフトバンク 阪神→ソフトバンク ロッテ→阪神 オリックス→ソフトバンク | 5人 |
| 2013 | 有馬翔 松冨倫 勘野甲輝 細山田武史 | ソフトバンク→楽天 巨人→ソフトバンク 楽天→ソフトバンク 横浜→ソフトバンク | 4人 |
| 2014 | 東野峻 梅津智弘 八木智哉 佐藤祥万 森越祐人 田中大輔 井野卓 | オリックス→横浜 広島→楽天 オリックス→中日 日ハム→広島 中日→阪神 中日→オリックス 巨人→ヤクルト | 7人 |
| 2015 | 金伏ウーゴ 鵜久森淳志 白根尚貴 | ヤクルト→巨人 日ハム→ヤクルト ソフトバンク→横浜 | 3人 |
| 2016 | 榎本葵 | 楽天→ヤクルト | 1人 |
| 2017 | 田代将太郎 山崎憲晴 | 西武→ヤクルト 横浜→阪神 | 2人 |
| 2018 | 中井大介 廖任磊(リャオ・レンレイ) | 巨人→横浜 巨人→西武 | 2人 |
| 2019 | 八百板卓丸 田中豊樹 | 楽天→巨人 日ハム→巨人 | 2人 |
| 2020 | 宮台康平 | 日ハム→ヤクルト | 1人 |
| 2021 | 古川侑利 | 巨人→日ハム | 1人 |
| 2022 | 三ツ俣大樹 渡邊佑樹 西巻賢二 | 中日→ヤクルト 日ハム→ソフトバンク ロッテ→横浜 | 3人 |
| 2023 | 井口和朋 | 日ハム→オリックス | 1人 |
| 2024 | 清宮虎多朗 中村亮太 鈴木康平 | 楽天→日ハム ソフトバンク→ロッテ 巨人→ヤクルト | 3人 |
トライアウトの歴代合格者は年によって人数が大きく異なり、多い年で10名以上、少ない年では該当者なしという厳しい現実があります。
歴代合格者の中には、三ツ俣大樹さんや井口和朋さんのように一軍で再び活躍した選手もいますが、多くは育成契約からの再挑戦です。
トライアウトの歴代合格者を見渡すと、「即戦力」と「将来性」を兼ね備えた選手が評価されやすく、実績に加えて球団の補強方針と合致することが重要な要素となっています。
トライアウトはいつ合格が発表される?
トライアウトの合格発表は、開催日からおおむね1週間から2週間以内に行われることが多いです。
トライアウトはいつ結果が出るのか気になる方も多いですが、即日発表ではなく、各球団が評価を行ったうえで、契約を希望する選手に個別に連絡する形式が一般的です。
トライアウトの合格がいつ明らかになるかは、球団の編成状況や他選手との交渉スケジュールによって変動します。
たとえばトライアウト後に各球団の入団テストを受けたり、秋季キャンプの合同練習で実力が認められたりすることで、のちに契約につながることもあります。
つまり、トライアウトの合格発表はいつも決まった日や決まった期間ではなく、1〜3週間ほどの幅があると考えるのが現実的です。
トライアウトの参加資格は?
トライアウトの参加資格は、過去に一度でもNPBの球団と契約・所属した経験があり、現在は自由契約となっている元プロ野球選手に限られます。
つまり、トライアウトの参加資格は誰でも得られるわけではなく、現役のNPB所属選手やアマチュア選手、独立リーグのみの経験者は対象外です。
かつてプロとしてプレーし、戦力外通告などを受けた選手のみが再び現役続行を目指して挑戦できます。
また、トライアウトの参加資格には回数制限もあり、受験できるのは最大2回までと定められています。
過去2回受験した選手は再参加できません。
この厳格な条件のもと、元NPB選手たちは最後のチャンスを懸けてトライアウトに臨んでいます。
トライアウトの廃止と復活について
トライアウトは2024年を最後に一度廃止されましたが、2025年から形を変えて復活することが決定しました。
廃止の背景には、トライアウトから直接契約に至る選手の減少や現役ドラフト制度の定着がありました。
しかし、現役続行を望む選手の強い声や再挑戦の場としての意義が再評価され、2025年からは日本プロ野球選手会の主催で新たにトライアウトが開催されます。
ここでは、トライアウト廃止と復活の詳細な経緯について解説します。
トライアウトの廃止について
トライアウトは2024年をもって廃止される方針が正式に決定しました。
トライアウトの廃止が提案されたのは2024年8月21日で、NPBと日本プロ野球選手会の会議で「今年限りで終了」と伝えられました。
廃止の背景には、トライアウト経由で契約に至る選手が年々減少していることが挙げられます。
各球団がすでに戦力外候補を事前に調査しており、当日の成績が契約に直結するケースは少なくなりました。
また、2022年から始まった現役ドラフト制度により、選手が他球団へ移籍しやすくなったことも廃止の理由の一つです。
トライアウトの廃止によって、今後は現役ドラフトや独立リーグでの再挑戦が主流になるとみられています。
トライアウトの復活について
トライアウトは2025年に選手会主催として復活することが正式に決まりました。
2024年でNPB主催のトライアウトが廃止されましたが、復活を望む声が多く、日本プロ野球選手会が単独で開催を引き継ぐ形となりました。
復活の背景には、現役続行を希望する選手たちの強い要望や、再チャレンジの機会を残したいという社会的意義があります。
2024年12月5日の選手会定期大会で「翌年以降も継続開催する」と全会一致で採択されました。
2025年の復活トライアウトは「エイブル トライアウト2025〜挑め、その先へ〜」として11月12日にMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島で開催予定です。
復活によって、NPB復帰だけでなく独立リーグや社会人野球への新たな道も広がります。
まとめ
トライアウトは、多くの選手にとって再びプロの舞台に立つための重要な機会です。
トライアウトの合格者は、すぐに契約が決まる人もいれば、数週間後に交渉がまとまる人もおり、その後の進路は人それぞれ異なります。
中には、時間をかけて評価され、後に契約を勝ち取る例もあります。
トライアウトの合格者のその後には、再びNPBで活躍する道だけでなく、独立リーグや社会人野球でプレーを続けるケースも多く見られます。
2024年で一度廃止されたトライアウトは、2025年から日本プロ野球選手会の主催で復活し、再挑戦を目指す選手に新たな道を開く場として再び注目を集めています。
トライアウトは今もなお、夢を諦めない選手たちの希望と挑戦の象徴であり、合格者のその後の活躍が多くのファンに勇気を与えています。



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